FPVTrackside ログ解析 / Race Rounds

WTWCUP2026 滋賀大会
決勝トーナメント分析

予選(タイムトライアル)後に行われた Race ラウンド R1〜R8 を、 ベスト16に残った16名に絞って解析しました。テーマは「上位入賞者はリードを得たあと本当にラップを緩めているのか」。 検出ログから各周の順位・前後差を復元し、同一選手の中で「安全圏の周」と「競り合いの周」を比べています。

対象パイロット
16
解析レース
25
計測ラップ
166
最速レースラップ
19.826
DNF
1 / 56走
ラップ計測なし
3 本(決勝)

結論

R1–R8 / 2026-08-09

「安全圏に入ったら緩める」は、実際に起きています。 首位で後続に3秒以上のリードを持って周回に入ったとき、選手のラップは自己の予選ベストの 1.312倍。同じ首位でも後続が3秒以内に迫っているときは 1.181倍で、 約13ポイント速く走っています。両方の状況を経験した5名の選手内比較でも5人全員が同じ向き (平均 +15.6ポイント)でした。

ただし緩める理由は「順位が安全だから」ではありませんでした。 このトーナメントは上位2名勝ち上がりなので、境界は1位と2位のあいだではなく2位と3位のあいだにあります。 そこで各周をカットラインまでの距離で並べ直すと、 2枠ルールが効いているのはカットラインの外側だけでした。 3位以下でも2位まで1.5〜5秒なら 1.071(全カテゴリ最速)、5秒を超えると 1.191 に落ちる。 一方、内側では「通過確定・でも2位がすぐ後ろ」という状況(1b)が 1.146 で首位カテゴリ最速です。 順位の安全さではなく、近くに相手がいるかどうかがペースを決めています。 前後どちらか近いほうまでの距離だけで並べると、2〜3秒までは横ばい、3秒を超えて急に落ち、6〜15秒で 1.349 という単調関係になります。

緩め方には個人差があります。 単独走と接近戦を比べると、tana25さん(+22pt)・マッツ_TAWさん(+18pt)・Yossy_TAWさん(+13pt)は はっきり2つのモードを使い分ける一方、 HARUさん・yuzuiroFPVさん・梅溪得道さん(いずれも −2〜−1pt)は状況で変えません。 しきい値を振ってもこの3対3は入れ替わりません。 なお、「緩めること」自体は順位を作っていません。 余力の大きさと最終順位の相関は ρ = +0.09 でほぼ無関係で、順位を最もよく説明したのは レース中で実際に出した最速ラップ(ρ = +0.85)大崩れした周の数(ρ = +0.79)でした。

安全圏で緩む量
+13pt首位・3秒差以上 1.312 対 首位・競り合い 1.181(自己予選PB比)
2枠ルールが効く場所
外側だけ2位まで1.5〜5秒 1.071 / 5秒超 1.191。内側の1bは 1.146
緩みはじめる距離
3秒2〜3秒 1.091 → 3〜6秒 1.180 → 6〜15秒 1.349
順位を説明する指標
ρ +0.85レース最速ラップ。余力の大きさは ρ +0.09 で無関係

トーナメント構造とベスト16の定義

30 pilots → 16 → 4

予選はタイムトライアル(PBLaps = 1、ベストラップ1周)。その結果で30名が2群に分かれ、 予選1〜14位はR1-5〜R1-8のシードヒートを走り、着順に関わらず全員がベスト16へ進出。 予選15位以下の16名はR1-1〜R1-4に入り、そこから敗者復活戦(R2〜R4)を戦って、 R4-2の上位2名(かっしー・63bitRuby)だけが昇格しました。 このため R5(4ヒート×4名 = 16名)がベスト16にあたり、本レポートの対象はこの16名です。

R5以降はR6(12名/3ヒート)→ R7(4名)→ R8(4名)と絞られ、 R6-1の上位2名(HARU・マッツ_TAW)とR8の上位2名(MITSUKI・yuzuiroFPV)の4名が決勝に進みました。 決勝3本(R9〜R11)は結果のみが記録されており、ラップ・ゲート検出のデータがありません。 以降のラップ解析はすべてR1〜R8が対象です。

ラウンド位置づけ ヒート人数時刻ラップデータ
R1 1次ヒート1次ヒート(全30名) 83013:26 あり
R2敗者復活 2回戦 41614:01 あり
R3敗者復活 3回戦 2814:24 あり
R4 敗者復活敗者復活 決勝 — R4-2の上位2名がベスト16へ 2814:33 あり
R5 ベスト16ベスト16 41614:41 あり
R6 ベスト12ベスト12 31215:07 あり
R7 準々決勝準々決勝 1415:20 あり
R8 準決勝準決勝 1415:26 あり
決勝 Race1決勝 Race 1 1416:01 結果のみ(ラップ計測なし)
決勝 Race2決勝 Race 2 1416:01 結果のみ(ラップ計測なし)
決勝 Race3決勝 Race 3 1416:02 結果のみ(ラップ計測なし)

ベスト16 最終順位とレースペース

race rounds R1–R8

「余力」= レース中央ラップが自己の予選ベストから何%遅いか。 「ピーク」= レース中に出した最速ラップの、自己の予選ベストとの差(マイナスは予選を上回ったことを意味します)。 9位以下の並びは同着ヒート内の着順で並べたもので、公式のタイブレークとは一致しない可能性があります。

#パイロットCH予選予選PB R最速記録R中央ピーク余力CV HS平均大崩れ通過
1MITSUKI E1 219.869 20.525R8-1 L3 25.39+3.3% +28%11.6% 3.460 決勝 15pt (3-1-1位)
2HARU E1 419.978 20.583R6-1 L1 24.14+3.0% +21%11.0% 3.790 決勝 14pt (1-1-DNF)
3yuzuiroFPV E2 722.408 23.036R8-1 L1 24.71+2.8% +10%19.2% 4.101 決勝 13pt (2-3-2位)
4マッツ_TAW E2 119.430 22.121R6-1 L1 25.58+13.8% +32%8.8% 4.140 決勝 4pt (DNF-4-3位)
5カサポン F3 1023.872 22.906R8-1 L3 25.38-4.0% +6%5.8% 4.850 R8 準決勝 3位
6梅溪得道 E2 319.938 19.826R7-1 L1 23.52-0.6% +18%15.1% 3.130 R8 準決勝 4位
7tana25 F3 520.809 21.493R5-4 L1 22.57+3.3% +8%15.2% 4.010 R7 3位
8AYA_TAW F5 822.460 23.648R7-1 L3 29.08+5.3% +29%12.5% 4.330 R7 4位
9かっしー F5 1525.364 24.429R6-2 L3 27.50-3.7% +8%15.7% 5.061 R6-2 3位
10Yossy_TAW F3 923.778 24.868R6-3 L2 28.27+4.6% +19%13.1% 4.300 R6-3 3位
11umeko3 F5 1325.191 26.264R5-1 L2 29.84+4.3% +18%12.5% 4.270 R6-2 4位
12ゆっきーFPV F5 1425.359 23.722R5-3 L3 31.69-6.5% +25%59.6% 4.614 R6-3 4位
13gakky-RBJ E1 621.098 23.646R5-3 L1 26.40+12.1% +25%15.2% 4.680 R5-3 3位
1463bitRuby E1 1828.527 27.453R5-4 L1 30.35-3.8% +6%9.8% 5.050 R5-4 3位
15Miyaドラ E2 1224.253 28.894R5-3 L3 37.82+19.1% +56%25.1% 4.301 R5-3 4位
16SKN-FPV F3 1123.940 26.449R1-8 L2 29.27+10.5% +22%32.2% 4.621 R5-4 4位

注目すべきはレース中央ラップの収束です。 予選ベストは 19.43秒〜28.53秒と9.1秒の幅があるのに、 上位8名のレース中央ラップは 22.6〜29.1秒(幅6.5秒)に収まります。 つまりレースでは全員がほぼ同じ速度域で走っており、違いはその速度域を「余力何割で出しているか」です。 MITSUKIさん(予選19.87秒)とカサポンさん(予選23.87秒)のレース中央ラップは どちらも 25.4秒で同じですが、前者は自己PBの+27.8%、後者は+6.3%。 カサポンさんは常時ほぼ全開、MITSUKIさんには 5秒分の引き出しが残っていた、ということになります。

予選ベストラップレース中央ラップまでの余力
1
MITSUKI
25.39 s
2
HARU
24.14 s
3
yuzuiroFPV
24.71 s
4
マッツ_TAW
25.58 s
5
カサポン
25.38 s
6
梅溪得道
23.52 s
7
tana25
22.57 s
8
AYA_TAW
29.08 s
9
かっしー
27.50 s
10
Yossy_TAW
28.27 s
11
umeko3
29.84 s
12
ゆっきーFPV
31.69 s
13
gakky-RBJ
26.40 s
14
63bitRuby
30.35 s
15
Miyaドラ
37.82 s
16
SKN-FPV
29.27 s

「セーブ」仮説の検証

166 laps / 4 situations

各周を、その周に入った時点(=前の周を終えた瞬間)の状況で4分類し、 ラップタイムを各選手の予選ベストで割って比較しました。選手ごとの速さの違いを打ち消すための正規化です。 数値が小さいほど自分の限界に近い走り、大きいほど余裕を残した走りを意味します。

A
首位・安全圏
首位で、後続との差が3秒以上
1.312 16周
B
首位・競り合い
首位だが、後続が3秒以内
1.181 30周
C
追走・射程内
2位以下で、前走者が3秒以内
1.149 76周
D
追走・脱落
2位以下で、前走者が3秒超
1.157 44周
1.05自己予選PB比(中央値)1.36

首位のまま安全圏(A)にいるときだけ、明確に遅くなっています。 一方、追走側(C・D)は前が見えていようが離されていようが 1.15前後で変わりません ——追う側に緩める余地はない、ということです。

ただしこの比較には「速い選手ほど大差をつけやすく、Aの周をたくさん持つ」というバイアスがあります。 そこで同一選手の中で A と B を比べたのが次の表です。両方を2周以上ずつ経験した5名で、 5名全員が A のほうが遅いという結果でした(符号検定 片側 p = 0.031)。

パイロット最終 A 首位・安全圏周数B 首位・競り合い周数 解釈
tana257位 1.4522 1.0331 +41.9pt リード確保後に +42ポイント緩めた
マッツ_TAW4位 1.3202 1.1401 +18.0pt リード確保後に +18ポイント緩めた
HARU2位 1.3024 1.2203 +8.2pt リード確保後に +8ポイント緩めた
梅溪得道6位 1.1803 1.1256 +5.5pt リード確保後に +5ポイント緩めた
かっしー9位 1.1273 1.0841 +4.2pt リード確保後に +4ポイント緩めた
平均 1.27614 1.12012 +15.6pt5/5 が同じ向き

では「最終ラップで流す」のかというと、そちらは一定しません。 R5〜R8の9レースの勝者について、最終ラップ(L3)が2周目より遅かったのは4人、速かったのが5人です。 とくに準決勝R8-1のMITSUKIさんは 23.30 → 21.58 → 20.52周回ごとに加速して リードを 0.5秒 → 2.6秒 → 6.1秒 に広げており、緩めるどころか押し切っています。

レース勝者 L1L2L3L3−L2L3突入時のリード走り方
R5-1 HARU 24.3724.1421.40 -11.4% +4.7 s 押し切った
R5-2 MITSUKI 26.3426.2421.37 -18.6% 首位でなかった 押し切った
R5-3 ゆっきーFPV 31.6924.0523.72 -1.4% 首位でなかった 維持
R5-4 tana25 21.4927.2033.21 +22.1% +6.3 s 緩めた
R6-1 HARU 20.5821.8028.15 +29.1% +3.9 s 緩めた
R6-2 梅溪得道 20.9120.5623.52 +14.4% +3.4 s 緩めた
R6-3 yuzuiroFPV 28.4825.0524.57 -1.9% 首位でなかった 維持
R7-1 梅溪得道 19.8330.7623.51 -23.6% 首位でなかった 押し切った
R8-1 MITSUKI 23.3021.5820.52 -4.9% +2.6 s 維持

勝ち上がり2枠が走りをどう変えるか

cut line = P2

ここまでは「首位かどうか」で切りましたが、このトーナメントで意味を持つ境界は 1位と2位のあいだではなく、2位と3位のあいだです (R4-1 を除く全レースが上位2名勝ち上がり)。そこで各周を、 その周に入った時点でカットラインまで何秒あったかで並べ直しました。 上ほど遅く、下ほど速い順です。

状況意味 周数自己予選PB比
1a 1位・2位も3位も3秒超 前も後ろも遠い。誰とも競っていない16 1.312
2a 2位・3位に3秒超 通過はほぼ確定。前の1位とは離れている/いない両方21 1.215
3c 3位以下・2位まで5秒超 事実上望みなし29 1.191
2b 2位・3位が3秒以内 抜かれたら落ちる。防戦25 1.188
1c 1位・3位が3秒以内 カットラインが自分のすぐ後ろまで来ている20 1.181
1b 1位・2位は3秒以内/3位は遠い 通過は確定。残っているのは勝ち負けだけ10 1.146
3a 3位以下・2位まで1.5秒以内 ひとつ前を抜けば通過33 1.121
3b 3位以下・2位まで1.5〜5秒 射程圏。攻めれば届く12 1.071

勝ち上がり2枠のルールは、カットラインの外側でいちばんはっきり効いています。 3位以下でも2位まで1.5〜5秒なら 1.071、1.5秒以内なら 1.121—— ここが全カテゴリで最速です。ところが5秒を超えて離されると 1.191 まで落ちる。 届く位置にいる選手だけが全開で、届かないと判断した瞬間に降りているのが読み取れます。

一方、内側では2枠ルールはほとんど効いていません。 「1位で、2位は3秒以内だが3位は遠い」——通過が確定していて、争っているのは勝ち負けだけ、という状況(1b)は 1.146 で、首位のカテゴリでは最速です。 2枠ルールが行動を支配しているなら、ここは緩んでいいはずですが、緩んでいません。 2位側でも、3位に3秒以上つけた安全な状態(1.215)と防戦中(1.188)の差は わずか2.7ポイントです。

つまり「順位が安全だから緩める」のではなく、「近くに誰もいないから緩める」。 実際、カットラインを無視して前後どちらか近いほうまでの距離だけで並べると、きれいな単調関係が出ます。

1秒以内
1.152 80周
1〜2秒
1.150 13周
2〜3秒
1.091 23周
3〜6秒
1.180 31周
6〜15秒
1.349 13周
15秒超
1.257 6周
1.05前後で近いほうまでの距離 → 自己予選PB比(中央値)1.37

2〜3秒までは 1.09〜1.15 でほぼ横ばい、 3秒を超えたところから急に落ち、6〜15秒で 1.349。 「3秒」が、相手を意識して走るかどうかの境目になっているようです。

レースの重さそのものの効果

レース単位でも見てみます。3位以下がその場で敗退するレース(R2-2・R2-4・R3・R4-2・R5-3・R5-4・R6-2・R6-3・R7-1・R8-1)と、 3位以下も別ルートで続くレース(R1各ヒート・R2-1・R2-3・R5-1・R5-2・R6-1)を比べると、差はかなり大きく出ます。

レースの種類周数自己予選PB比 単独走のみ接近戦のみ
淘汰あり(3位以下は終了)78 1.116 1.186 (18) 1.105 (44)
分岐のみ(3位以下も続く)88 1.210 1.256 (32) 1.213 (44)

ただしこれは交絡しています。 淘汰ありのレースは大会の後半に集中しており、ラウンドが進むほどペースは上がっているからです (下表)。淘汰の有無と時間経過を、このデータで分離することはできません。 同一選手内で比べても、その選手の「分岐のみ」のレースはほぼ必ず先に走られています。 「負けたら終わりだから速い」と「後半ほど路面と機体に慣れて速い」は、ここでは区別できません。

レース種類周数自己予選PB比
R5-1 分岐のみ 121.251
R5-2 分岐のみ 121.238
R5-3 淘汰あり 121.156
R5-4 淘汰あり 121.232
R6-1 分岐のみ 121.178
R6-2 淘汰あり 121.060
R6-3 淘汰あり 121.190
R7-1 淘汰あり 121.117
R8-1 淘汰あり 121.066

パイロット別のセーブ傾向

clear air vs traffic

緩め方には、はっきり個人差があります。各選手について 単独走(周回開始時に前後3秒以内に誰もおらず、自分は2位以内)接近戦(1.5秒以内に相手がいる)のラップを比べました。 両方2周以上ある8名が対象です。プラスが大きいほど「単独になると緩める」タイプです。

#パイロット 単独走接近戦セーブ量L1除外タイプ
7tana25 1.307 (3) 1.084 (7) +22.4pt +22.2 二段変速(単独で明確に緩める)
4マッツ_TAW 1.323 (5) 1.140 (3) +18.3pt 二段変速(単独で明確に緩める) ※接近戦は全てL1
10Yossy_TAW 1.317 (2) 1.189 (5) +12.8pt +15.1 二段変速(単独で明確に緩める)
9かっしー 1.127 (3) 1.035 (6) +9.1pt やや緩める
1463bitRuby 1.151 (2) 1.076 (6) +7.5pt -8.5 やや緩める
2HARU 1.208 (5) 1.220 (3) -1.1pt 一定ペース(状況で変えない) ※接近戦は全てL1
3yuzuiroFPV 1.091 (2) 1.103 (11) -1.2pt -1.6 一定ペース(状況で変えない)
6梅溪得道 1.180 (3) 1.197 (8) -1.7pt +0.1 一定ペース(状況で変えない)

しきい値を 2.5〜3.5秒 / 1.5〜2.0秒 の範囲で振っても、 tana25さん・マッツ_TAWさん・Yossy_TAWさんが常に上位、 HARUさん・yuzuiroFPVさん・梅溪得道さんが常に下位という並びは変わりません。 この3対3は個人の癖として読んでよさそうです。

マッツ_TAW (予選1位 → 最終4位)— 二段変速の典型
単独走 R5-1 L2 24.92/1.28 R1-5 L2 25.58/1.32 R1-5 L3 25.70/1.32 R5-1 L3 25.71/1.32 R6-1 L3 28.91/1.49
接近戦 R6-1 L1 22.12/1.14 R1-5 L1 22.15/1.14 R5-1 L1 28.05/1.44
yuzuiroFPV (予選7位 → 最終3位)— 一定ペースの典型
単独走 R7-1 L2 24.17/1.08 R1-8 L2 24.73/1.10
接近戦 R8-1 L1 23.04/1.03 R8-1 L2 23.75/1.06 R7-1 L1 24.16/1.08 R7-1 L3 24.50/1.09 R6-3 L3 24.57/1.10 R5-2 L1 24.71/1.10 R6-3 L2 25.05/1.12 R1-8 L1 25.44/1.14 R1-8 L3 27.16/1.21 R6-3 L1 28.48/1.27 R5-2 L2 36.03/1.61

マッツ_TAWさんは予選最速(19.430秒)ですが、 単独走の5周がすべて 1.28〜1.49倍に入り、接近戦では 1.14倍まで上がる—— きれいに2つのモードに分かれています。ただし彼の接近戦ラップは3周とも1周目なので、 「単独だから緩めた」のか「1周目だけ速い」のかは、この本数では切り分けられません。

yuzuiroFPVさんは対照的で、R5-2の1本(36.03秒・42.31秒のトラブル)を除くと 13周すべてが 1.03〜1.27倍の帯に収まり、単独でも接近戦でも中央値が動きません。 予選7位から最終3位へ順位を上げたのはこの選手で、 「速さの引き出し」ではなく「同じペースを刻み続けること」で勝ち上がっています。

持ちタイムを超えてきた選手

qualifying rank vs final rank

予選順位より最終順位を上げた選手は、上位4人がはっきり分かれます—— かっしーさん(予選15位 → 9位)・カサポンさん(10位 → 5位)・yuzuiroFPVさん(7位 → 3位)・ 63bitRubyさん(18位 → 14位)。かっしーさんと63bitRubyさんは、 敗者復活戦を勝ち上がってベスト16に入った2人でもあります。この4人には共通点があります。

パイロット予選最終変動R最速/予選PB R中央/予選PBHS平均順位獲得追い越し大崩れ
MITSUKI 21 +1 +3.3% +28% 3.46 (2) -0.50 4 0
HARU 42 +2 +3.0% +21% 3.79 (3) +0.33 1 0
yuzuiroFPV 73 +4 +2.8% +10% 4.10 (5) +0.80 10 1
マッツ_TAW 14 -3 +13.8% +32% 4.14 (6) +0.33 1 0
カサポン 105 +5 -4.0% +6% 4.85 (14) +1.00 5+1 0
梅溪得道 36 -3 -0.6% +18% 3.13 (1) -0.80 2+1 0
tana25 57 -2 +3.3% +8% 4.01 (4) -0.50 2 0
AYA_TAW 88 +0 +5.3% +29% 4.33 (10) +0.00 4 0
かっしー 159 +6 -3.7% +8% 5.06 (16) +1.20 6+1 1
Yossy_TAW 910 -1 +4.6% +19% 4.30 (8) +0.00 3 0
umeko3 1311 +2 +4.3% +18% 4.27 (7) -0.67 0 0
ゆっきーFPV 1412 +2 -6.5% +25% 4.61 (11) +0.00 1+2 4
gakky-RBJ 613 -7 +12.1% +25% 4.68 (13) -0.50 2 0
63bitRuby 1814 +4 -3.8% +6% 5.05 (15) +1.00 5 0
Miyaドラ 1215 -3 +19.1% +56% 4.30 (9) -1.00 0 1
SKN-FPV 1116 -5 +10.5% +22% 4.62 (12) -0.50 0+1 1

① 予選タイムが本人を過小評価していた。 レース中に出した最速ラップは、かっしーさん −3.7%・カサポンさん −4.0%・63bitRubyさん −3.8% と 予選ベストより速い(yuzuiroFPVさんも +2.8%)。 この「レース最速 ÷ 予選PB」は順位変動と ρ = −0.774 で結びついており、 本レポートで見たどの指標より強い関係です。 逆に落とした側は再現できていません——gakky-RBJさん +12.1%(予選6位 → 13位)、 SKN-FPVさん +10.5%(11位 → 16位)、Miyaドラさん +19.1%(12位 → 15位)。

② 余力がない。というより、予選タイムがすでに巡航ペースだった。 レース中央ラップの予選PBからの乖離は +6.3〜+10.3% で、これは16人中の最小グループです (フィールド全体はおよそ +22%)。持ちタイムが遅く見えたのは 1周だけ速い走りができなかったからで、3周続けて走る速さでは差が小さかった、ということです。 実際、予選を「ベストラップ」ではなく「中央ラップ」で順位付けし直すと、 カサポンさんは10位→6位、yuzuiroFPVさんは7位→2位、かっしーさんは15位→12位に上がります。 イベント設定が PBLaps = 1 だったことが、この4人には不利に働いていました。

③ スタートは全員遅い。ホールショット平均はかっしーさん 5.06秒(16人中16位)、 63bitRubyさん 5.05秒(15位)、カサポンさん 4.85秒(14位)。 先に見たとおりホールショット1位の優勝率は67%、4位からは0%—— この4人は最も不利な入り方をしながら順位を上げています(yuzuiroFPVさんだけは4.10秒で5位)。

④ レース中に取り返している。 ホールショット順位からフィニッシュまでの平均獲得順位は かっしーさん +1.20・カサポンさん +1.00・63bitRubyさん +1.00・yuzuiroFPVさん +0.80 で、 これが16人中の上位4つです。しかも譲られたのではありません—— 大会全体で発生した順位の入れ替わり52回のうち 46回(88%)は相手が大崩れしていない状態での追い越しで、 yuzuiroFPVさんの10回は全パイロット中最多です。

⑤ そして崩れない。4人の大崩れは 0・0・1・1回。 カサポンさんのばらつき CV 5.8% は16人中で最小です。

カサポンさん — 「2位でいい」を使い切った例

  • 4戦してヒート勝ちは0回。着順は R1-7 2位 → R5-2 2位 → R6-1 4位 → R8-1 3位。 それでも最終5位です。上位2名勝ち上がりのルール下では、勝つ必要はなく2位でよい。
  • 予選PB 23.872秒(10位)に対し、レース最速は 22.906秒(R8-1 L3、準決勝の最終ラップ)。 1日で最も速い1周を、最も重要なレースの最後に出しています。
  • ホールショット平均 4.85秒は下から3番目。毎レース3位・4位で1周目に入り、そこから上げています。

なお、この「上げた/落とした」の一部は シード指標そのもののノイズでも説明できます。1周だけのベストラップで順位を付ければ、 たまたま出た1周で過大評価された選手は落ち、そうでない選手は上がるからです。 ただし「予選PB ÷ 予選中央ラップ」(=どれだけ1周だけ速いか)と順位変動の相関は ρ = +0.471 にとどまり、 上で見た ρ = −0.774ρ = −0.706(順位獲得)には届きません。 この比率が近い8名だけを取り出しても、上げた4人は「レース最速が予選PB比 +2.8%以内・順位獲得 +0.80以上」、 落ちた側は「+4.6%以上・獲得0以下」ときれいに分かれます。 シードのノイズだけでは説明しきれず、走り方の差は残ります。

緩めると事故は減るのか

incident = 自己中央値の1.5倍超

「安全に飛ぶ」の効果を見るため、自分のレース中央ラップの1.5倍を超えた周を クラッシュ/リカバリの代理指標として数えました。結果は仮説と逆向きです。

状況周数 ペース(自己PB比)大崩れ大崩れ率
A 首位・安全圏 161.3121 6.2%
B 首位・競り合い 301.1810 0.0%
C 追走・射程内 761.1493 3.9%
D 追走・脱落 441.1574 9.1%

最も安定していたのは「首位・競り合い」の30周で、大崩れ 0件。 逆に大崩れ率が高いのは「追走・脱落」(9.1%)で、これは崩れたから離されたという因果の向きでしょう。 安全圏(A)でも 16周中1件出ています。緩めることが事故を防いだ証拠は、このデータには見えません。 ベスト16の完走率は 55/56走(DNFはtana25さんのR1-6のみ)で、そもそも崩れる母数が小さいという事情もあります。

スタートの重み

holeshot → finish

ここまでの議論は「リードをどう使うか」ですが、そのリードは大半がスタートで決まっています。 ホールショット(スタートから1回目のライン通過)順位ごとの優勝率は次の通りです。

ホールショット順位走数優勝 優勝率
1 位1510 67%
2 位146 43%
3 位151 7%
4 位120 0%

ホールショット1位からの優勝が67%、3位からは7%、4位からは0%。 1周目を終えた時点の順位はさらに強く、1位・2位はその順位のまま73〜76%がフィニッシュしています。 ホールショット平均が最も速いのは梅溪得道さん(3.13秒)、次いでMITSUKIさん(3.46秒)・HARUさん(3.79秒)で、 最終上位陣とほぼ一致します。

ベスト16以降 レース別ラップ

R5–R8 lap by lap

各セルはラップタイムと、その周を終えた時点の順位・前走者との差です。 セル左端の縦線は、その周に入ったときの状況(A 首位・安全圏/ B 首位・競り合い)を示します。太字はそのレースの最速ラップです。

R5-1 R5 ベスト16 14:41 · target 3 laps

#パイロットCHHS Lap 1 Lap 2 Lap 3 合計予選
1HARU E1 3.89p1 24.37p1 LEAD 24.14p1 LEAD 21.40p1 LEAD 69.904位
2マッツ_TAW E2 4.13p2 28.05p2 +3.9 24.92p2 +4.7 25.71p2 +9.0 78.671位
3Yossy_TAW F3 4.35p4 37.88p4 +2.8 25.94p4 +2.5 25.72p3 +11.1 89.549位
4umeko3 F5 4.35p3 35.03p3 +7.2 26.26p3 +8.6 36.28p4 +8.0 97.5813位

R5-2 R5 ベスト16 14:45 · target 3 laps

#パイロットCHHS Lap 1 Lap 2 Lap 3 合計予選
1MITSUKI E1 3.44p2 26.34p2 +1.0 26.24p3 +0.0 21.37p1 LEAD 73.942位
2カサポン F3 4.70p4 25.60p3 +0.5 24.05p1 LEAD 25.76p2 +2.7 75.4110位
3梅溪得道 F5 3.17p1 29.80p4 +2.7 23.04p2 +1.7 29.74p3 +5.6 82.573位
4yuzuiroFPV E2 4.09p3 24.71p1 LEAD 36.03p4 +8.8 42.31p4 +21.4 103.067位

R5-3 R5 ベスト16 14:48 · target 3 laps

#パイロットCHHS Lap 1 Lap 2 Lap 3 合計予選
1ゆっきーFPV F3 4.63p2 31.69p3 +5.5 24.05p3 +2.3 23.72p1 LEAD 79.4614位
2かっしー F5 5.17p4 25.64p2 +2.4 27.28p2 +3.5 26.80p2 +0.8 79.7315位
3gakky-RBJ E1 4.77p3 23.65p1 LEAD 26.21p1 LEAD 35.82p3 +5.5 85.686位
4Miyaドラ E2 4.30p1 37.41p4 +5.4 59.79p4 +41.1 28.89p4 +39.9 126.1012位

R5-4 R5 ベスト16 14:52 · target 3 laps

#パイロットCHHS Lap 1 Lap 2 Lap 3 合計予選
1tana25 E2 4.12p1 21.49p1 LEAD 27.20p1 LEAD 33.21p1 LEAD 81.905位
2AYA_TAW F5 4.38p2 25.77p2 +4.5 28.98p2 +6.3 34.15p2 +7.3 88.908位
363bitRuby F3 4.80p4 27.45p3 +2.1 27.92p3 +1.0 33.57p3 +0.5 88.9418位
4SKN-FPV E1 4.80p3 30.82p4 +3.4 38.83p4 +14.3 27.73p4 +8.4 97.3811位

R6-1 R6 ベスト12 15:07 · target 3 laps

#パイロットCHHS Lap 1 Lap 2 Lap 3 合計予選
1HARU E1 3.48p2 20.58p1 LEAD 21.80p1 LEAD 28.15p1 LEAD 70.534位
2マッツ_TAW E2 4.03p3 22.12p2 +2.1 23.64p2 +3.9 28.91p2 +4.7 74.671位
3MITSUKI F5 3.45p1 26.06p4 +0.2 25.30p3 +5.0 25.48p3 +1.6 76.832位
4カサポン F3 4.82p4 24.52p3 +3.2 26.41p4 +0.9 26.20p4 +1.7 77.1310位

R6-2 R6 ベスト12 15:10 · target 3 laps

#パイロットCHHS Lap 1 Lap 2 Lap 3 合計予選
1梅溪得道 E1 3.21p1 20.91p1 LEAD 20.56p1 LEAD 23.52p1 LEAD 64.993位
2tana25 E2 3.96p2 21.58p2 +1.4 22.58p2 +3.4 22.56p2 +2.5 66.725位
3かっしー F3 4.72p4 26.00p3 +5.2 25.04p3 +7.6 24.43p3 +9.5 75.4715位
4umeko3 F5 4.39p3 27.01p4 +0.7 32.76p4 +8.4 34.63p4 +18.6 94.4013位

R6-3 R6 ベスト12 15:13 · target 3 laps

#パイロットCHHS Lap 1 Lap 2 Lap 3 合計予選
1yuzuiroFPV E2 4.16p2 28.48p3 +0.2 25.05p2 +0.4 24.57p1 LEAD 78.107位
2AYA_TAW F5 4.50p4 25.01p1 LEAD 29.17p3 +1.0 24.64p2 +1.1 78.828位
3Yossy_TAW E1 4.16p1 28.27p2 +2.9 24.87p1 LEAD 30.61p3 +4.6 83.759位
4ゆっきーFPV F3 4.28p3 30.20p4 +1.8 117.15p4 +93.0 60.25p4 +124.0 207.6014位

R7-1 R7 準々決勝 15:20 · target 3 laps

#パイロットCHHS Lap 1 Lap 2 Lap 3 合計予選
1梅溪得道 E1 2.90p1 19.83p1 LEAD 30.76p2 +1.0 23.51p1 LEAD 74.103位
2yuzuiroFPV F3 4.22p4 24.16p2 +5.6 24.17p1 LEAD 24.50p2 +0.0 72.837位
3tana25 E2 3.72p2 29.10p3 +4.4 22.12p3 +1.4 23.73p3 +1.6 74.955位
4AYA_TAW F5 4.09p3 29.90p4 +1.2 25.84p4 +4.9 23.65p4 +4.8 79.398位

R8-1 R8 準決勝 15:26 · target 3 laps

#パイロットCHHS Lap 1 Lap 2 Lap 3 合計予選
1MITSUKI F5 3.11p1 23.30p1 LEAD 21.58p1 LEAD 20.52p1 LEAD 65.402位
2yuzuiroFPV F3 3.84p3 23.04p2 +0.5 23.75p2 +2.6 24.03p2 +6.1 70.817位
3カサポン E2 4.75p4 24.52p3 +2.4 24.47p3 +3.1 22.91p3 +2.0 71.8910位
4梅溪得道 E1 3.19p2 28.78p4 +2.7 29.86p4 +8.1 21.37p4 +6.6 80.013位

16人の選手評

pilot by pilot

ここまでの指標を選手ごとにまとめ直したものです。数値はすべて R1〜R8 の実測で、 「PB比」は自己の予選ベストとの差、「余力」はレース中央ラップの予選ベストからの乖離です。 R5で敗退した4名は2レース分しかデータがないため、評価の確度は上位陣より落ちます。

決勝進出組 R9–R11 finalists

1 MITSUKIE1 予選2位 19.869s 最速ラップを、決着の周に出す
R1-8 2位 → R5-2 1位 → R6-1 3位 → R8-1 1位 → R9-1 3位 → R10-1 2位 → R11-1 1位
最速
20.52s
+3.3% / R8-1 L3
中央
25.39s
余力 +28%
CV
11.6%
ばらつき
HS平均
3.46s
16人中 2位
順位獲得
-0.50
HS→着順
追い越し
4
クリーン
大崩れ
0
12周中

R8-1 で 23.30 → 21.58 → 20.52 と周回ごとに加速し、 リードを 0.5秒 → 2.6秒 → 6.1秒 に広げて押し切りました。R5-2 でも2周目終了時に3位(首位と0.0秒差)から 最終ラップ 21.37秒 で逆転。中央ラップは自己PBの +28% と余力が大きく、それを最後まで温存できています。

R6-1 で3位に沈んで決勝直行を逃しましたが、そこから敗者ルートのR8-1を制し、 決勝でも3位 → 2位 → 1位と上げ切った。取りこぼしを取り返す力が優勝の中身です。

2 HARUE1 予選4位 19.978s この大会で最も安定して速かった
R1-6 1位 → R5-1 1位 → R6-1 1位 → R9-1 1位 → R10-1 1位 → R11-1 4位
最速
20.58s
+3.0% / R6-1 L1
中央
24.14s
余力 +21%
CV
11.0%
ばらつき
HS平均
3.79s
16人中 3位
順位獲得
+0.33
HS→着順
追い越し
1
クリーン
大崩れ
0
9周中

予選の中央ラップ 20.81秒は16人中1位、PB比 0.960 は「ベストを何度でも再現できる」ことを示します。 ヒート3戦全勝で決勝直行、決勝も2連勝。単独走と接近戦の差は −1.1pt で、状況に関係なく同じ速度で走ります。

唯一の敗因が最終レースのDNFで、これがなければ優勝でした(15pt 対 14pt)。 速さで負けたのではありません。

3 yuzuiroFPVE2 予選7位 22.408s メトロノーム
R1-8 1位 → R5-2 4位 → R6-3 1位 → R7-1 2位 → R8-1 2位 → R9-1 2位 → R10-1 3位 → R11-1 2位
最速
23.04s
+2.8% / R8-1 L1
中央
24.71s
余力 +10%
CV
19.2%
ばらつき
HS平均
4.10s
16人中 5位
順位獲得
+0.80
HS→着順
追い越し
10
クリーン
大崩れ
1
15周中

R5-2 のトラブル(36.03秒・42.31秒)を除くと13周すべてが PB比 1.03〜1.27 に収まり、 単独でも接近戦でも中央値が動きません(−1.2pt)。8戦は全体最多で、 10回の追い越しはすべて相手が崩れていない状態でのものです。

R5-2 で4位に沈んだあと、R6-3・R7-1・R8-1 と勝ち上がって決勝3位。 「引き出しの多さ」ではなく「同じペースを刻み続けること」で予選7位から3位まで上げた、 今大会で最も再現性の高い走りです。

4 マッツ_TAWE2 予選1位 19.430s 予選最速が、レースで再現されなかった
R1-5 1位 → R5-1 2位 → R6-1 2位 → R9-1 4位 → R10-1 4位 → R11-1 3位
最速
22.12s
+13.8% / R6-1 L1
中央
25.58s
余力 +32%
CV
8.8%
ばらつき
HS平均
4.14s
16人中 6位
順位獲得
+0.33
HS→着順
追い越し
1
クリーン
大崩れ
0
9周中

レース最速は自己PBより 13.8% 遅く、これは上位8名で唯一の二桁です。 単独走と接近戦の差 +18.3pt は全体2番目で、単独走5周がすべて 1.28〜1.49倍、接近戦では 1.14倍まで上がる—— 二段変速がはっきり出ているタイプ。

ヒートでは崩れず2位・2位と堅実でしたが、勝ち切る速さを出せず決勝でも 4-4-3位。 緩めるクセを抑えられれば、持ちタイム通りの結果が出るはずです。

準決勝・準々決勝で終えた組 R7–R8

5 カサポンF3 予選10位 23.872s ヒート勝ち0回で5位
R1-7 2位 → R5-2 2位 → R6-1 4位 → R8-1 3位
最速
22.91s
-4.0% / R8-1 L3
中央
25.38s
余力 +6%
CV
5.8%
ばらつき
HS平均
4.85s
16人中 14位
順位獲得
+1.00
HS→着順
追い越し
5
クリーン +1
大崩れ
0
12周中

上位2名勝ち上がりのルール下では勝つ必要がなく、2位・2位・4位・3位で十分でした。 CV 5.8% は全体最小で、走りのブレが最も少ない。 スタートは下から3番目なのに毎レース平均1つ順位を上げています。

そして予選PB 23.872秒に対し、1日で最も速い1周 22.906秒を準決勝R8-1の最終ラップに出している。 地味に見えて、勝負所の押さえ方が一番うまい選手です。

6 梅溪得道E2 予選3位 19.938s 爆発力は随一、振れ幅も随一
R1-7 1位 → R5-2 3位 → R6-2 1位 → R7-1 1位 → R8-1 4位
最速
19.83s
-0.6% / R7-1 L1
中央
23.52s
余力 +18%
CV
15.1%
ばらつき
HS平均
3.13s
16人中 1位
順位獲得
-0.80
HS→着順
追い越し
2
クリーン +1
大崩れ
0
15周中

大会最速のレースラップ 19.83秒とホールショット最速 2.90秒の両方を持っています。 R6-2 では 20.91 → 20.56 → 23.52 と圧倒。

ただしレースごとの出来の振れ幅が大きく、予選のPB比 0.689 は16人中最小—— 「1周だけ速い」度合いが最も強いタイプで、これは予選中央ラップ13位という数字にも出ています。 決勝進出を逃したR8-1は最初の2周(28.78・29.86)で決まってしまいました。 最終ラップは 21.37秒と全員より速く、噛み合わなかった印象です。

7 tana25F3 予選5位 20.809s 素の巡航速度は全16人でトップ
R1-6 4位 → R5-4 1位 → R6-2 2位 → R7-1 3位
最速
21.49s
+3.3% / R5-4 L1
中央
22.57s
余力 +8%
CV
15.2%
ばらつき
HS平均
4.01s
16人中 4位
順位獲得
-0.50
HS→着順
追い越し
2
クリーン
大崩れ
0
10周中

レース中央ラップ 22.57秒は、優勝したMITSUKIさん(25.39秒)より 2.8秒速い。 それでも7位に留まった理由が2つはっきりしています。

ひとつは R1-6 のDNF(今大会ヒート唯一)。もうひとつは単独走で最も大きく緩めること—— R5-4 で独走しながら 21.49 → 27.20 → 33.21 と最終ラップを +55% 落としています。 この日いちばん「もったいない」データを持つ選手です。

8 AYA_TAWF5 予選8位 22.460s 予選順位=最終順位、16人で唯一
R1-5 3位 → R5-4 2位 → R6-3 2位 → R7-1 4位
最速
23.65s
+5.3% / R7-1 L3
中央
29.08s
余力 +29%
CV
12.5%
ばらつき
HS平均
4.33s
16人中 10位
順位獲得
+0.00
HS→着順
追い越し
4
クリーン
大崩れ
0
12周中

R1-5 では終始3位でしたが、R5-4・R6-3 でしっかり2位を確保して勝ち上がりました。 中央ラップ 29.08秒は8位としては遅く、順位を保てたのは速さよりミスの少なさによるものです。

ただし自己最速 23.65秒を出したのは最後のレースR7-1の最終ラップで、尻上がりに調子を上げていました。 もう少し先まで残れていれば、と思わせる終わり方です。

R6(ベスト12)で終えた組 R6

9 かっしーF5 予選15位 25.364s 最も遠回りをして、最も順位を上げた
R1-3 1位 → R2-3 1位 → R4-2 2位 → R5-3 2位 → R6-2 3位
最速
24.43s
-3.7% / R6-2 L3
中央
27.50s
余力 +8%
CV
15.7%
ばらつき
HS平均
5.06s
16人中 16位
順位獲得
+1.20
HS→着順
追い越し
6
クリーン +1
大崩れ
1
15周中

予選15位で敗者復活組に落ちながら、R1-3・R2-3 を連勝し、R4-2 で2位に入ってベスト16へ。5戦は最多クラスです。

スタートは16人中最下位なのに、毎レース平均1.20ポジション上げている——これは全体1位。 R6-2 では 26.00 → 25.04 → 24.43 と尻上がりに加速しています。 R1-3 のL2で 43.66秒 という大崩れがありながら、そのレースを1位で終えているのも印象的でした。

10 Yossy_TAWF3 予選9位 23.778s 堅実だが、決め手に欠けた
R1-5 2位 → R5-1 3位 → R6-3 3位
最速
24.87s
+4.6% / R6-3 L2
中央
28.27s
余力 +19%
CV
13.1%
ばらつき
HS平均
4.30s
16人中 8位
順位獲得
+0.00
HS→着順
追い越し
3
クリーン
大崩れ
0
9周中

R6-3 の2周目に自己最速 24.87秒を出して首位に立ちながら、最終ラップを 30.61秒に落として3位。 あと一歩の場面で伸ばせなかったのがそのまま結果です。

R5-1 も1周目 37.88秒の出遅れが最後まで響きました。 単独走では +12.8pt 緩めるタイプで、ここを抑えれば順位は変わったはずです。

11 umeko3F5 予選13位 25.191s 予選タイムが実力を正確に表していた
R1-6 2位 → R5-1 4位 → R6-2 4位
最速
26.26s
+4.3% / R5-1 L2
中央
29.84s
余力 +18%
CV
12.5%
ばらつき
HS平均
4.27s
16人中 7位
順位獲得
-0.67
HS→着順
追い越し
0
クリーン
大崩れ
0
9周中

PB比 0.950 は「ベストが特別な1周ではない」ことを意味し、実際レースでもPB +4.3% まで出せています。 R1-6 で2位を取りシード権を得たのは確かな成果。

ただし追い越しが0回で、順位を上げる手段を持てませんでした。 加えてレース後半の失速が目立ちます(R5-1 L3 36.28秒、R6-2 L3 34.63秒)。 3周を同じペースで走り切れれば、もう1つ2つ上げられます。

12 ゆっきーFPVF5 予選14位 25.359s 速さはある。出せる確率が低いだけ
R1-8 4位 → R5-3 1位 → R6-3 4位
最速
23.72s
-6.5% / R5-3 L3
中央
31.69s
余力 +25%
CV
59.6%
ばらつき
HS平均
4.61s
16人中 11位
順位獲得
+0.00
HS→着順
追い越し
1
クリーン +2
大崩れ
4
9周中

R5-3 では 31.69 → 24.05 → 23.72 と尻上がりに加速して優勝。 その 23.72秒は自己の予選ベストを 6.5% 上回る——16人で最大の予選超えです。

一方 R1-8 と R6-3 では 54秒・117秒・60秒という周回があり、実質リタイア状態でした。 CV 59.6% は断トツの最大値。ここが安定すれば一気に上位に来る余地があります。

R5(ベスト16)で終えた組 R5 · 2レースのみ

13 gakky-RBJE1 予選6位 21.098s 今大会で最も惜しい結果
R1-7 3位 → R5-3 3位
最速
23.65s
+12.1% / R5-3 L1
中央
26.40s
余力 +25%
CV
15.2%
ばらつき
HS平均
4.68s
16人中 13位
順位獲得
-0.50
HS→着順
追い越し
2
クリーン
大崩れ
0
6周中

予選はPB6位・中央ラップ3位で、素の速さは明確に上位グループでした。 R5-3 では1周目 23.65秒・2周目 26.21秒でいずれも首位。

ところが最終ラップ 35.82秒(前周比 +37%)で3位に転落し、通過を逃しました。 たった1周の崩れが16人中最大の順位下落(−7)を生んでいます。 レース最速がPB +12.1% に留まった点も含め、予選の速さをレースに持ち込めなかった典型です。

14 63bitRubyE1 予選18位 28.527s 予選18位からベスト16、それ自体が成果
R1-4 1位 → R2-3 2位 → R4-2 1位 → R5-4 3位
最速
27.45s
-3.8% / R5-4 L1
中央
30.35s
余力 +6%
CV
9.8%
ばらつき
HS平均
5.05s
16人中 15位
順位獲得
+1.00
HS→着順
追い越し
5
クリーン
大崩れ
0
12周中

持ちタイム 28.527秒はベスト16で唯一の28秒台(他は全員 25.4秒以下)。 絶対速度では届きませんでしたが、走り方の質は上位陣と同じでした—— 大崩れ0、クリーンな追い越し5回、レース最速は予選を 3.8% 上回る。

R4-2 では 28.47 → 30.09 → 28.55 と安定して勝ち切っています。 速度を上げれば順位はそのまま付いてくるタイプです。

15 MiyaドラE2 予選12位 24.253s 1周の速さと3周の速さの差が最大
R1-6 3位 → R5-3 4位
最速
28.89s
+19.1% / R5-3 L3
中央
37.82s
余力 +56%
CV
25.1%
ばらつき
HS平均
4.30s
16人中 9位
順位獲得
-1.00
HS→着順
追い越し
0
クリーン
大崩れ
1
6周中

予選PB 24.253秒は12位ですが、予選中央ラップ 31.79秒は15位。 レースでは一度も自己PBの2割以内に入れず、R5-3 のL2では 59.79秒でした。

予選の順位が実力を上振れして示していたぶん、レースで落ちた形になります。 逆に言えば、予選で出せた24秒台を安定して刻めるようになれば伸びしろは大きいです。

16 SKN-FPVF3 予選11位 23.940s 2レースとも、序盤の1周で終わった
R1-8 3位 → R5-4 4位
最速
26.45s
+10.5% / R1-8 L2
中央
29.27s
余力 +22%
CV
32.2%
ばらつき
HS平均
4.62s
16人中 12位
順位獲得
-0.50
HS→着順
追い越し
0
クリーン +1
大崩れ
1
6周中

R1-8 は1周目に 58.41秒、R5-4 は2周目に 38.83秒。 ただしその後は26〜27秒台(R1-8 L2 26.45、R5-4 L3 27.73)で走れており、 巡航ペース自体は持っています。

序盤の1周を無事に通過できていれば、結果はかなり変わったはずです。 順位としては16位ですが、内容は数字ほど悪くありません。

全体を通して

  • 予選の順位付けが PBLaps = 1(ベストラップ1周)だったことが、結果をかなり歪めています。 1周だけ速いタイプ(梅溪得道さん 0.689・Miyaドラさん 0.763・マッツ_TAWさん 0.765)は軒並み順位を落とし、 ベストを再現できるタイプ(HARUさん 0.960・umeko3さん 0.950・カサポンさん 0.931)は守るか上げています。
  • 順位を最もよく説明したのは「レース中に実際に出した最速ラップ」(ρ = +0.85)と 「大崩れした周の数」(ρ = +0.79)で、持ちタイムそのもの(ρ = +0.71)ではありません。
  • 上位に来た選手に共通するのは、速さの絶対値より 「一番大事な1周で最速を出せること」でした。 カサポンさん(R8-1 最終ラップ 22.91秒)、MITSUKIさん(R8-1 最終ラップ 20.52秒)が典型です。

データについて

caveats

読むときの注意

  • 決勝3本(R9・R10・R11)にはラップデータがありません。順位と得点だけが記録されており、 ラップ/ゲート検出は0件です。優勝者MITSUKIさんの決勝での走りは、このデータからは分析できません。
  • 状況分類 A の標本は16周しかありません。安全圏に入れる選手が限られるため構造的に少なく、 選手内比較(A対B)も5名分です。傾向としては一貫していますが、統計的には弱い証拠です。
  • パイロット別のセーブ傾向は、1人あたり単独走2〜5周/接近戦3〜11周での比較です。 しきい値を振っても順序は安定していますが、個々の数値は数周の入れ替わりで動きます。 マッツ_TAWさんとHARUさんは接近戦ラップが全て1周目のため、 「単独だから緩めた」と「1周目だけ速い」を分離できていません。
  • 淘汰あり/分岐のみの比較は、ラウンド順と交絡しています。 淘汰ありのレースは大会後半に集中しており、両者を分離することはできません。
  • セクター分析は行っていません。4機同時飛行のためゲート取りこぼしが多く、 S3は166周中86周(52%)、S2・S4も約75%しか取れておらず、状況別に切ると各セル10周を切ります。 セクタータイム自体は race_laps.csv に収録していますが、 区間の物理的な距離も不明なため、区間どうしの速度比較はできません (同じ区間でのパイロット間比較のみ有効)。
  • 「大崩れ」はクラッシュそのものではありません。自己中央値の1.5倍超という代理指標で、 リカバリ・パイロン接触・単なるライン外しを区別していません。
  • 9位以下の順位付けは推定です。ヒート内着順で並べたもので、公式のタイブレーク (ポイント・ベストラップ等)とは異なる可能性があります。1〜8位は決勝/R7・R8の着順で確定しています。
  • 正規化の基準は予選ベストラップ(1周)です。1周だけの記録なので、 これを「その選手の持続可能なペース」と見なすと余力を過大評価します。本レポートの「余力%」は ピーク能力に対する余裕であって、レースペースの余裕そのものではありません。

元データは FPVTrackside のイベント fb7c3ca9-e6a2-44b2-9479-74d3638ee632。各レースのフォルダに動画 0.mp4 / 0.wmv があり、race_laps.csvoffset_end_s がレース開始からの経過秒(シーク位置)に対応します。